クルーネックやボートネックの衿の仕様について

編地について

「この商品の衿、どんな編地にしよう」

などと考える時に参考になるようにまとめました。

衿は大体、編立の終わり部分にくる「編み止まり」ヶ所につける事が多いので

アレンジが沢山効く、デザインポイントの一つです。

また、後ろ身頃は大体こちらの編地の特性と同じ場合が多いです。

商品全体で考えると顔の周りを装う装飾部分なので

多彩な表現方法がありますが、

衿によって適正な編地というのがあるのもニットの特徴なので

紹介をいたします。

目閉じ

衿ぐりに別の編地をつけない方法として

「目閉じ」があります。衿ぐりがくさり編みの様に1目

編み終わりを閉じている衿ぐりです。

身頃が天竺編みなら、編み終わりも編地の特性により、前側にめくれます。

ざっくりしたボートネックなどにも使われる方法です。

天竺袋wリンキング

天竺の袋状に編んだ編地を、輪になっている方を外側にして

衿ぐりを包み込む形でリンキング(ニットの縫製のような感じ)して

衿ぐりを見えないようにする方法です。

カーブがきつい場合は2cm丈くらいまでが限界になります。

理由は、天竺袋の端がカーブに耐えられずしわになったりするからです。

1×1RIB(もしくは2×1RIB、またはそれ以上のRIB)sリンキング

(sリンキング=シングルリンキング)

RIBの襟を別付けする時に1枚のRIBを衿ぐりにリンキング付けする方法

カーブがきつくても6cmくらいまでなら衿としてつけれます。(RIBによりますが)

特徴として、裏側にリンキングのつなぎ目が出ます。

リンキングハギといいますが、これを隠したい場合は

後ろ身頃のみ、BODY同糸で編まれた総針テープ(大体1cm幅くらいまで)を

内側上からかぶせて、総針テープの両端をたたきつけする方法がとられます。

衿のRIBはぐるりとつけて、端と端を縫い合わせないといけません。(輪にするため)

ハギの位置は正肩ハギ線ではなく、ニットの特徴である「肩減らし位置」になることが多いです。

(肩減らし位置については 編地について で別途記載します)

左衿の後ろ側1.5~3cmヶ所あたりにハギを入れる事が多いです

天竺ロール付け

天竺表目の編地を1.5~2cm幅で編み、衿ぐりの目閉じの仕上げの下に

裏返しして(天竺裏目の状態で)重ねて縫いつける事で

目閉じ部分が天竺編みの特性(両端は後ろに巻く)により

クルンと巻かれて、衿ぐりの目閉じ部分を隠してくれる上に

自然と巻かれた天竺ロールでくるまれた衿になるという仕様です

裏に総針テープ付け

これはボートネックなどに多いですが、衿ぐり端と総針テープの横側の端とを縫製し

総針テープが見返しの役割をする衿ぐりです。

仕上がりがきれいですが、クルーネックでは出来ません。

総針テープはカーブで編むのがしんどい編み地です。

直線~ゆるやかなカーブくらいまでは対応可能です。

通常、表目の1目分を内側に控えて(折り込んで)

裏の総針テープが見えない状態に仕上げます。

裏の総針テープの衿ぐり側とは反対側の端はルイス(まつり縫い)する事が多いです。

天竺袋付き各種RIB

これは衿ぐりとリンキングするヶ所の0.5~1.3cmくらいは天竺袋、

その上にRIB編みがついている状態の仕様です。

RIBの形状にもよりますが、1×1RIBなどだとタートルネックでよく使われれる仕様です。

天竺袋部分とRIB部分は編み続きです。

工場さんが編む時は、衿先から編むアイテムです。

(編みあがりが天竺袋側になります)

衿ぐりの端やリンキング端の汚い部分を天竺袋で覆うのできれいに仕上がります。

スカラップ編み

スカラップとは波状の編み出し部分の事で、

引き上げ編みを一定間隔で入れる事で先の丸い波状の飾り編み出しが出来るテクニックです。

天竺袋wでも、RIBでも出来るのですが

スカラップを強く出したい場合はRIBの方が出やすいです。

編み出し側(天竺袋なら袋側)を何cmかずつ引き上げ編みを入れる事で

ポコポコとした波のようなエジングに変える手法です。

RIBで大きくスカラップを出す場合や、ローゲージの場合は

引き上げ編みヶ所を、

「引き上げる段になるまでは全て針抜きで仕上げる」と

より強いスカラップが出ます。

天竺袋付き天竺ロール

これは先ほど「天竺袋付き各種RIB」項で紹介した衿先が

天竺ロール状になる仕様です。

衿ぐりとリンキングするヶ所の0.5~1.3cmくらいは天竺袋、

その上に天竺編みがついている状態の仕様です。

天竺袋部分と天竺ロール部分は編み続きです。

工場さんが編む時は、天竺ロール先から編むアイテムです。

(編みあがりが天竺袋側になります)

天竺ロール部分を蛍光の糸で編んだりすると配色パイピングの様に

ポイントになる仕様です。

ざっくりと例として出しましたが・・・

ニットは組み合わせ等で無限に色々なデザインができます。

ただ、クルーネック/ボートネックに合わない衿飾りもあるので

ここに紹介した物が、商品に対しておすすめの衿となると思います

このほかにはかぎ針編みでのエジング(縁飾り編み)などもありますが、

今回は機械編みで紹介いたしました。

参考までにぜひご検討ください。

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