皆さんはニットの素材というとどんなものを創造されますか?
私は学生時代から繊維学などを学んだり糸を作ったりしていたので少し人よりも詳しいですが
仕事を始めてから知った素材/自分で勉強して触れた素材も数多いです。
その中の羊の種類をいくつかご紹介します。(本当は3000種位います。)
★まずは羊の基礎知識をちょろっと★
クジラ偶蹄目ウシ科ヤギ亜科
草のみを食べる食性(木の皮や木の実は食べない)
寿命は10~12年。長いと20年生きる。
角はラセン角とアモン角とある。(ラセンは螺旋状にまっすぐ伸びる角、アモンは丸くカールする角)
視野は270度~320度。横に長い楕円形の瞳孔で草原で敵を見分ける力がある。
眼球を50度近く回転することもできる。
毛は繊維自身が呼吸し、湿気調節する。
この毛で人間の未熟児の育成を早める研究が現在されている。
冬暖かく夏涼しい、撥水性が高く弾力がある。汚れにくく燃えにくい。燃えても有毒ガスが出ない。
抗菌・消臭効果がある。ホルムアルデヒド等有害物質を吸着できる力がある。
空気清浄機能があり、生分解し土に戻るのでフィルターとしてもとても優秀。
染めやすく色落ちしにくい。静電気による汚れの発生を抑える力もある。。。
そして可愛い。肉はおいしいしヘルシー(油が少なめ・・・)
と読んでいると地球にやさしい、とても優れた素材だという事がわかっていただけるかと思います。
だんだん羊が好きになってきませんか?
サフォーク(SUFFOLK)
羊のショーンでお馴染みの顔の黒い羊です。
角がなくて低地の羊、イギリス南東サフォーク州減産の100Kgくらいの大型の羊です。
日本でもよく飼われています。
羊肉用として飼われる事が多く、ラム肉(10か月未満)はかなり良質です。
毛は白くて半光沢の毛、少し硬めのツイードやフェルトに向いている毛です。
サウスダウン(オス)×ノーフォーク(メス)の子供
あ・・・こうして書いているときっと膨大な量になりそうです。。。
要点のみにしますね。
メリノ(MERINO)
羊毛の中で最も白くしなやかで細い毛をもつ羊。クリンプ(毛の縮れ)も強く紡ぎやすい。
スペイン産で1300年代に開発された家畜でスペイン王国の財源の1つだった。
19世紀にスペイン独立戦争で持ち出され、オーストラリアメリノが出現。
フェルトにも衣類にも向いている毛です。
オーストラリアメリノには
ファインメリノ/ミドルメリノ/ストロングメリノと大きく3種あります。
ファインメリノが18~19ミクロンと細い毛です。
ミドルメリノは20~22ミクロン
ストロングメリノは23~25ミクロン と
まあ・・・どれも割と細い毛です。
ロムニー(Romney)
イギリスケント州産、
ニュージーランドの羊の45%、
日本のカーペットの7~80%がロムニー。
カーペットにとても向いている毛で、
私はよくフェルト小物を作る時にロムニーは混ぜます。
縮絨の際に定着が良い(毛の絡まりが丁度良いのでお勧め)
チェビオット(Cheviot)
イギリス純血種。チェビオットヒルズ周辺出身。もう基本的なウール。張りがあり山間放牧向き。
細番手で光沢もあり、クリンプも多くニット、服地に向いているが少し手触りが粗目なのでツイードによく使用されています。
白い顔と足に毛がない。顔細め。
今はロシア・オーストラリア・ニュージーランドなどによくいます。
ペレンデール(perendale)
丘陵地でもよく育ち、山地で食をあされるタフな子。頬っぺたにも毛がモサモサある羊。
ロムニーよりも細い毛で手編み用とされています。弾力も強く編みやすい。
ロムニー(メス)×チェビ(オス)の交配種で
ニュージーランドの羊の20%はペレです。
ポロワス
メリノとリンカーン種の交配種
毛肉兼用種。毛は柔らかく肌触りもよい。ニットに向いている。
オーストラリア産が多い。
コリデール(Corriedal)
毛肉兼用種だが毛の方が優勢(羊毛用の方が優れている)
メリノとリンカーンの交配種。
セーター使用の中で一番一般的で扱いやすいウール。編み物向きでオーストラリア産が多い。
クリンプが均一で光沢もよく、色の混入も少ない。
第二次世界大戦前までは日本に100万頭超える頭数がいたが、羊毛の国内需要が減り、
肉質の良いサフォークの方が増えた
(サフォーク肉のが1kg当たりの肉の値段が高いが毛質はコリデールの方が良い)
マンクスロフタン(ManxLoaghtan)
日本にあまりいないレア種。
イギリス産マン島出身。英国内の繁殖用雌羊が1500頭未満。
上に伸びるアモン角(丸く伸びる角)が特徴。4本角。
1990年に日本に20頭のロフタン種が繁殖保護推進で輸入されている
→約100頭まで増えたのですが現在50頭少々に減少傾向だそう。
稀少家畜保護トラスト(RBST)制度の保護下で飼育している
ジャコブ
牛のような白黒の柄が特徴。オス、メスともに2~6本の角がある
古代種の血が入っている。ホルスタインの柄が人気でカーペットなどにされる事が多い
イギリス産の羊。
ドライスデイル(Drysdale)
ニュージーランド産のカーペット用羊
ロムニーのへアリーな羊のみの交配で生まれた。
英国ブラックフェースよりも細く、色の混入がない。毛足が長め
35~45ミクロンで100~150m/mの繊維長
ブラックフェース
英国山岳地出身。長毛種。200~300m/mで太目の毛。
ヘアーが多い(硬い毛でまっすぐな毛の事。髪の毛みたいな毛)
名前の通り、顔が黒い。足先が見えないくらい毛が長くモップみたいに見える。
カーペットやスコッチツイードに使用される
とりあえずこんな感じで・・・
まだまだ、ミルク用のフライスランドやクルクルの毛のブルーフェイスレスターなど
色々な交配の羊がいますが
とりあえず、ニットや手芸にかかわる毛をもつ羊の代表格は
大体このくらいかなぁ?と思います。
少し知っておくと、お店で糸を見たときに「あ、これロムニーって書いてある!」など
羊の品種に気が付けるので毛の特徴を考えた作品/商品作りができるのでお勧めです。
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