裾の仕様について

編地について

「この商品の裾はどんな形にしよう」

などと考える時に参考になるようにまとめました。

裾は編み出しの部分なので、一番最初に編む編地です。

BODYの編地との関連性が問われる部分であり、

袖口とも関連性が問われる部分です。

ある老舗ニットブランドでは裾/袖口に特徴を持たせたデザインの

商品のみを作成している所もあります。

どういうシルエットにしたいか、という部分に

直結して適正な編地というのがあるので

商品のイメージを書いた後で必然的に決まる事も多い部分です。

1×1RIBs 他各種RIB編み出し

(RIBs=シングルRIB)

RIBの編み出しから編む方法

普通のプルオーバーによく使われます(被って着用する商品にはちょうどいい)

BODYが天竺編みの場合などは特に、RIB上がすこし「たぽっ」とするので

ニットらしい可愛らしさが出るのが特徴です。

ワイドリブにする場合はBODYが1×1RIBや2×1RIB、

ワイドリブの場合などに多いですが

BODYがRIBの場合で、裾にRIB表現をしたい時などはBODYと

違う編地のRIBにしてRIB表現をする事が多いです。

ただ、BODYがRIBの場合は

編み出しからBODYまで同じRIBでも安定性と伸縮性があるので

いちいち変えなくても良いです。

あくまでdesignポイントとして、編地を裾部分変更する場合に適用されます。

天竺袋編み出し

天竺の袋状に編んだ編地を、輪になっている方を下側にして

輪状に編み出しして、1回シングル編みに閉じる方法です。

ワンピースやスカート、カーディガンに使用されます。

1回輪を閉じる為、閉じた部分の伸縮性が減るので

プルオーバーなどの場合は裾幅が55cm(平置き)以上の方が安心です。

裾幅が広い商品によく使われます。

また、すっきりしてコンサバティブに見える商品になる仕様なので

商品をどう見せたいか という部分にもよると思います。

天竺ロール編み出し

こちらは天竺表目で12Gなどなら1.5cmくらいだけ編み出し、

その後1×1RIBなどのRIBで編むと

天竺部分がロール(巻く)する事で裾先が変わった状態になる仕様です。

こちらはカジュアルな商品にたま~にある仕様です。

ロール部分を配色糸などで編めばバイカラーデザインの商品の

一部として使える仕様ですし

ちょっと裾/袖口をラフに仕上げたい時に使用されるテクニックです。

各種RIBにストレッチ糸プレーティング

各種RIBで編み出しする際に、例えばBODYが天竺編みで

RIB上の「たぽっ」としている部分を強調したい時などに

RIBにストレッチ糸をプレーティングします。

ただ、プレーティングの量は多ければ良い

・・・という訳ではないのが難しいところです。

RIB全てにストレッチ糸をプレーティングすると

RIB本来のもともとの伸縮性の比率に近くなってしまうRIBも結構あります。

また、脇がゆがみやすくなるという欠点も出てきます。

糸の特性とも関連してきます。

この糸で1×1RIBの場合はどのくらいプレーティングすると

一番RIBの伸縮性が引き出せるか、

ワイドリブの場合はどのくらいの丈、プレーティングするのが良いか

ここは経験が物を言う部分なので経験数こなすのが一番良い所です。

よくあるのが1cmストレッチ糸プレーティング

0.5cmストレッチ糸プレーティング

お手持ちのニットの裾を裏から広げてみてみてください。

裾から0.5~1cmくらい、少し厚くなっている

(もしくは色が濃いなど)の所があるニットが

あると思います。それはこのテクニックの編地です。

裾編み出しに1コールゴム通し(2本位)

裾をとても「たぽっ」とさせたいゆるフワニットに使用するテクニックです。

私はかなり昔からよくやっていたのですが、

最近市場に少し出てきています。(真似された感ありです)

これはローゲージのモヘア系の糸などに適しています。

目の詰まった硬いニットでは出来ません。

編み出しの糸通し部分をコールゴムで芯にしてもらい、

結び目を脇の縫い代にしっかりかがってゴム端が出てこないようにします。

ゴムはなるべくBODY同色にするか、

BODYを白系(もしくは芯白の糸など)で作成します。

ニットのフワフワの可愛らしさが表現できるテクニックです。

(商品の幅が大きい時は、編み出しを天竺袋にするととてもきれいに仕上がります。

 そこまで大きくない時はRIBにすると良いです。少しはゴムが隠しやすくなります)

スカラップ編み

スカラップとは波状の編み出し部分の事で、

引き上げ編みを一定間隔で入れる事で

先の丸い波状の飾り編み出しが出来るテクニックです。

編み出し側(天竺袋なら袋側)を何cmかずつ引き上げ編みを入れる事で

ポコポコとした波のようなエジングに変える手法です。

RIB編みの数目毎に引き上げ編みを入れたRIBなので

RIBの伸縮性は通常よりも劣るので

一番伸縮性のある1×1RIBなどだと商品として安定性が出る編地です。

天竺袋でもスカラップ編みは出来るのですが、裾にはRIBの方が適していると思います

(伸縮性が天竺袋のスカラップ編みの場合はかなり低いです)

ガーター編み出し

なんと、ここでガーター編みが出てきました。

私も「ガーター」と久々に書いて新鮮な気分です。

ガーター編みは裾に使用するとかなり安定性のある、

立体感を表現できる編地なので

裾/袖口/衿に使用されたり、スカートのすそ部分などに使われる事がたまにあります。

衿には大体2cmくらいのエジング系表現として

裾がガーターだった時に統一感を出すためなどで使用される事が多いです。

シャネル風のジャケットカーディガンなどのdesignポイントで裾/襟/袖口に使用したり

とにかくカチッとした仕上がりになるので

コンサバティブな商品に使用される事の方が多い印象です。

ガーターの編み幅は天竺の編み幅よりも広がりやすいので

少しAラインの商品の裾などにもちょうどいいです。

高い事以外は。。。

ざっくりと出しましたが・・・

裾は着用時の伸縮性が必要になる部分なので

1つ間違えると着用できない商品を作ってしまう危険性が出ます。

避けるためにも編地の特性を知っておく事は大事です。

ここに紹介した物は、商品に対しておすすめの裾となります

このほかにはかぎ針編みでのエジング(縁飾り編み)などもありますが、

今回は機械編みで紹介いたしました。

参考までにぜひご検討ください。

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